3月15日、世田谷キャンパス新6号館61C教室にて第1回研究プレゼンコンテスト(TCU R-PresCo)が開催された。本学大学院環境情報学研究科、総合理工学研究科の1年に在籍する学生ら12人が口頭発表、22人がポスター発表に参加し、それぞれの専攻領域について熱弁をふるった。今回のコンテストは本学大学院生のプレゼンテーション力の向上と本学の研究力向上を目的として、本年度から継続して実施される。開会式の冒頭に丸泉本学副学長は「同じ大学にいても自身の研究や専攻以外の発表を聞く機会は貴重なのでこの機会を是非大事にしてほしい」と挨拶した。
中でも注目を集めたのは総合理工学研究科 共同原子力専攻 原子力システム研究室 修士1年の仲村宗真さんが発表した「研究炉を用いた原子炉錬金術」の研究だ。原子炉内で元素の核変換が生じる現象を利用して、戦略的に元素生成を行う技術の実現を目的としている。実現した場合、「『豊富で安価』な元素から『希少で高価』な元素をつくる」という原子炉の新たな利用方法の開拓となるため、今後の研究には大きな期待が寄せられている。
同じ総合理工学研究科でもその研究分野は幅広く、医療に関わる技術も発表されていた。「腸内検査を目的としたカプセル内視鏡の自走機構の開発」というタイトルで、電気・化学専攻 医用工学領域 臨床器械工学研究室の清水陽一郎さんが発表した。
この研究では消化管がんの早期発見を目的とした自走機構付きカプセル内視鏡の開発を行っている。消化管がんはがんによる死因の約三割を占めるが、早期に発見すれば治療が可能であるため、清水さんの研究に期待が高まっている。
都市大で開発された自走機構付きのカプセル内視鏡は、コイルと筒状の磁石を用いた電磁誘導機構を採用したことで他のカプセル内視鏡と比べて素早く移動することが可能になった。しかし、電磁誘導機構を搭載したことでカプセル内視鏡の全長が大きくなり、曲がりくねった腸内の推進を困難にしてしまった。そこで、カプセル内視鏡を球状にすることによって、その課題をクリアしようというのが今回の研究の目的だ。
形状の考案にさきがけ、球体構造に適した自走機構のメカニズムも新たに開発した。この新たなメカニズムを搭載したアクリル製の球体モデルを用いた走行実験を行ったところ、球体型自走機構の有用性が確認できた。今後は腸内の内部環境モデルを利用したシュミレーションを重ね、着実に実用化を目指す方針だ。
東京都市大学大学院には1000人以上の大学院生が在籍しており、日々研究に取り組んでいる。第2回研究プレゼンコンテストは11月15日に開催予定だ。