世田谷美術館は、地域に根差した文化活動を推進し、一般の来館者との新たな繋がりを築くための活動を進めている。特に、コロナ渦を経て年配のコレクターからの寄贈が増加し、それに伴い、多様な作品や資料の収蔵・展示に力を入れている。

館長の橋本氏は「コロナを機に自身のコレクションを整理し、社会貢献として美術館に寄贈する方が多くいらっしゃいます」と述べ、寄贈された作品が今後の展示に役立つことを期待していると語った。
展示内容とその特徴
美術館では「暮らしの時を運ぶ」「街の時を拓く」というテーマで、東急グループが手がけた歴史的な事業や、沿線に住む美術家たちの作品を紹介する企画展が開催された。特に注目されたのは、東急沿線に居住した総勢40人以上の美術家たちによる多彩な表現だ。絵画や彫刻、現代美術に至るまで、さまざまなジャンルの作品が一堂に会し、来館者に新たな視点を提供している。

また、「文化を拓き、育てる」と題した展示では、東急グループが手がけてきた文化活動や地域貢献の取り組みを紹介。天文博物館五島プラネタリウム、学校法人五島育英会、五島美術館、Bunkamura、東急財団(旧・五島記念文化財団)などが関与した事業の資料が展示されており、地域社会との深い結びつきを知ることができる。
鉄道ファンから美術館ファンへ

今回の展覧会では、鉄道関連の展示がきっかけとなり、多くの鉄道ファンが美術館を訪れている。橋本館長は「鉄道ファンの中には、美術に触れる機会が少なかった人も多い。この機会に美術館を身近に感じてもらい、将来的には家族連れで再訪してもらえることで、世田谷美術館の顧客・美術分野の人口増加につながり、美術館が新たなターゲット層を開拓できる場となることを期待している。それが世田谷美術館の成長につながると考えている」と語る。
このような取り組みは、今後も美術館の顧客層の拡大とともに、地域社会との関係をさらに深める契機となるだろう。