神奈川県3支部 合同懇親会 3年ぶりの開催

神奈川県3支部 合同懇親会 3年ぶりの開催
 2025年9月20日、神奈川県3支部の総会、懇親会が東京都市大学横浜キャンパスで行われ、3支部は各支部ごとの教室に分散して開催されることになった。3支部合同で懇親会が行われるのはコロナ禍以来3年ぶりであり、直接顔を合わせて行う食事や談笑の温かみを再度実感させられた。

川崎支部総会

 会の司会は顧問の岸野哲氏(1979年経営卒)が務め、川崎支部長である山岸一雄支部長(1967年機械卒)の挨拶で始まった。挨拶に続き、新聞会会長の中條里菜による新聞会の活動紹介が行われた。活動紹介では、川崎支部主催の講演会やお花見会の記事の紹介などを通して、「卒業生と現役生の橋渡しをする立場」である新聞会の活動について詳しく知るきっかけになった。

川崎支部についての記事を紹介する新聞会会長

 その後は2025年度の活動報告が行われた。川崎支部の運営方針や活動実績、収支報告書や監査報告が示されたほか、今後の活動指針についても言及があった。会員の声を反映した企画運営に活かしていくこと、若手会員による提案であるワークショップなどの交流の場となる企画を増やし、活動のルーチン化を防ぐなどといった提案がされた。

 続いて、2026年度の活動計画について話し合いが行われ、その中でも中心的な内容となったのは、神奈川県3支部の合併に関してだった。賛成派の意見として、「参加者減少や高齢化による活動縮小は深刻であり、それは早急に解決する手段として現実的である」といったものが挙げられ、反対派の意見としては、「一口に同じ神奈川県といっても、支部によって会員の住んでいる地域はまばらであり、合併し1つの場所に集まるとなると、遠出を強いられる会員が多くなり、結果として足が遠のいてしまうのではないか」といった意見も挙がり、議論は白熱した。

 役職、年齢関係なく、フラットに多くの人々が言葉を交わし、会員全員が真摯に耳を傾ける様子は、川崎支部の特色であり、活動方針にも挙げられる「当たり前のことを馬鹿にしないで、当たり前に行う。正しいことを正しく行う。」というスローガンが実行されていることを今回の総会で切に感じられた。


研究室探訪

 閉会した後、希望者は高田昌幸(たかだまさゆき)教授の研究室の見学に赴いた。高田教授は日本のジャーナリストであり、フロントラインプレス合同会社の代表、東京都市大学メディア情報学部社会メディア学科の教授を務めている。高田教授は今年度でご退官予定であるため、見学の機会としてはこれが最後となる。形式としては、33A教室を用いてメディアに関する講義を高田教授ご本人の経験を踏まえて講演する形だった。

 講義の中で印象に残ったのは、「1つの出来事を1つのカメラで報じるのではなく、複数の角度から撮影し、様々な視点を与えるべき」という言葉だ。私は、記事を書く際、1つの側面を都合よく切り取るようなことは出来るだけ避け、中立であることを意識していた。しかし、結局のところ、どこを切り抜き、記事に使うのか、どこまでが中立であるかを規定するのにも主観が入ってしまう以上、中立と証明するのは土台無理な話だ。大切なのは、中立ではなく多様であることと、高田先生は仰られた。この講義は、新聞会などの発信する側だけではなく、メディアを受け取る側にとっても、これからの情報社会の指針となるものだろう。

大本営発表の新聞記事を用いて講義を行う高田教授


横浜支部総会

 横浜支部では冒頭、横浜支部会長・皆川勝校友会会長が挨拶を行い、参加者拡大とつながりの価値について語った。会の最大の目標は「一人でも多くの人に参加してもらうこと」だとしつつ、単に人数を追うのではなく、一人の参加が生み出す新しいつながりこそが大切だと強調した。参加人数に一喜一憂するのではなく、つながりの質を理解してもらうことで自然と広がりが生まれるとの考えが示された。

 今年は実際に卒業生のご家族も参加し、世代を超えたつながりが感じられる場となった。こうしたOBや先生方との関わりは、30年、40年という長い年月をかけて築かれてきたものであり、支部活動を支える大きな土台となっている。世代や立場を超えて関係を紡ぎ続けることこそが、校友会活動の強みであることが改めて示された。

 総会後半には活動報告や意見交換が行われ、参加者は近況や今後の展望について自由に語り合った。和やかな雰囲気の中にも真剣さがあり、会員一人ひとりの声に耳を傾ける姿勢が際立っていた。最後に皆川会長は「人数ではなく、良いつながりの質を重視していきたい」と総会を締めくくり、支部の今後の方向性を明確にした。横浜支部総会は、単なる会合にとどまらず、校友同士が互いを支え合い、次世代へと受け継がれる絆の大切さを確認する場となった。

総会の様子



神奈川・湘南支部総会

 神奈川・湘南支部総会では海老沼利光会長の指揮の下で開催され、現役学生も参加して活発な議論が交わされた。会では、過去の活動の振り返りに加え、コロナ禍以前に実施されていた3支部合同懇親会について意見交換が行われた。コロナ禍ではリモート形式にて開催されていたが、今年は約3年ぶりに対面での開催となった。参加者からは「直接顔を合わせる意義が大きい」との声が寄せられた。

 また、支部名称や呼称の在り方についても議論が行われ、神奈川と湘南それぞれの役割や位置付けを整理する必要性が指摘された。アンケート結果を踏まえ、開催時期や複数会の同時開催など、運営上の課題についても協議された。さらに、次期幹事長・副幹事長を含む支部役員の選出に向けた準備が進められていることや、2026年度の事業計画策定が進行中であることも報告された。

水素自動車開発者の山根公高氏や神奈川県会議員の松長泰幸氏が参加した。


横浜支部/神奈川・湘南支部 合同講演会

 年々厳しさを増す夏の暑さや加速する気候変動に、私たちはどのように向き合うべきか。本学環境学部環境創生学科の横田樹広教授が、自身の研究や実践的な活動を踏まえながら講義で語った。横田教授は、気候変動の影響は農業やインフラにとどまらず、健康、エネルギー、自然の生態系サイクル、さらにはサプライチェーンにまで及ぶ可能性があると指摘。今後はその影響範囲がさらに広がり、課題もより細分化していくとした上で、「早急な対策が必要だ」と強調した。

 世界的には、CO₂排出量を削減し、2050年までにカーボンゼロを実現、生物多様性も回復させることが目標とされている。横田教授は2001年から啓発活動を続けてきたが、「今は実行に移し、プラスに変えていかなければならない時代だ」と語る。一方で、生物多様性の損失を止める期限である2030年まで残り5年を切り、さらにAIの進歩やデータセンターの増加による電力需要の拡大といった新たな課題も浮上しているという。

 また、教授は人間の安全や生活に直結する「自然の調整サービス」が気候変動の影響で弱体化している現状を紹介。その打開策として「自然に根ざした解決策(NbS:Nature-based Solutions)」を掲げ、自然全体を包括的に捉える「ランドスケープ・アプローチ」の重要性を説いた。講義では、シンガポールの気候変動に対応した公園づくりや、ロンドン・ベルリンでの都市と自然の共生の取り組み、横浜市での河川や農地を活かした防災策などの事例が紹介された。最後に横田教授は「環境のダイナミックな側面を示しつつ、人間社会と自然の関係を再設計することが未来への道筋になる」と述べ、学生に行動の必要性を訴えた。


懇親会

 神奈川3支部合同の懇親会では、オープニング演奏に始まり、川崎・横浜・神奈川湘南の各支部が活動報告や意見交換を実施した。ビンゴ大会では持ち寄った景品が全員に行き渡るよう工夫され、終始和やかな雰囲気に包まれた。

対面での交流は、オンラインでは得られない信頼関係の構築や発想の共有につながる。世代や立場を超えた議論の場は、支部活動を次世代へ継承していく力にもなっている。研究室探訪や講演会を通じて、学生とOBの双方にとって実践的な学びの機会となった。

懇親会の様子(写真5枚)

東京都市大学校友会HP

東京都市大学 校友会

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