大海原にロマン求め ヨット部試乗会

大海原にロマン求め ヨット部試乗会

大海原にロマン求め ヨット部試乗会

4月22日に行われたヨット部(体育会)のヨット試乗会の様子をリポートする。

 午前10時に京浜急行電鉄久里浜線の三崎口駅に集合した。三崎口駅は三浦半島最南端の駅で、マリンスポーツへ向かう人々で賑わっていた。この日の最高は気温22℃、天気は晴れ。4月下旬にも関わらず夏を思わせる日差しが降り注ぐ絶好のセーリング日和だ。
改札を出るとヨット部2年の天水皐輔さんが「ヨット部」と書かれた大きな看板を持って待っていた。程なくして試乗会に参加する1年生4人が集まった。皆ヨットに乗るのは初めてだという。
 天水さんの運転する車で今回乗船するヨットが係留されている諸磯湾の油壺京急マリーナへと向かう。余談だが「油壺」という変わった地名は鎌倉時代に三浦半島で勢力を持った三浦一族が討ち死にして一体が油のような血の海になったことに由来するとも、油を流したように海が穏やかであることに由来するとも言われいる。

アランフェス号

 マリーナに到着するとヨット部自慢の「アランフェス号(Aranjuez VI)」と対面した。その名は、スペイン・マドリード州南部の地名にちなむ。大学のヨット部と聞くと小型のディンギーヨットを連想しがちだが、都市大ヨット部が所有するのはクルーザーと呼ばれる外洋を航海可能な大型のヨットだ。クルーザータイプのヨットを保有する日本の学生団体は数えるほどしかない。全長30フィートのアランフェス号の定員は12名で豪華なキャビン(船室)が備えられている。船内にはテーブル、ソファー、ベッド、シンクなど生活に必要なものが一通り揃う。
 マリーナでは見るもの全てが新鮮だ。1年生らは大型重機を用いてヨットを海へ下ろす作業の様子をまじまじと見つめる。1年生らの所属学部は工学部または知識工学部でマシン系には目がないようだ。工業大学のルーツを持つ本学らしい光景だ。
 ヨット部員による出港準備が済むと1年生らも乗船する。今回の試乗会にはヨット部員以外にも今年本学を卒業したOB益川さんと50代のOB東山さんの2人も同行する。東山さんから乗船中の諸注意が告げられたのち、アランフェス号は出港した。東山さんは真っ黒に日焼けした恰幅の良い風貌で「海の男」という言葉がよく似合う。1年生に気さくに話しかけ船内を盛り上げる。

30年に一度の出来事

 出港して約20分後、突然「ガリガリッ」という鈍い音と共に激しい振動が船体を襲う。「座礁だ」東山さんは言った。ヨットの船艇には「キール」と呼ばれる板状の構造物があり、海底方向に1メートル程張り出している。キールは船が傾いた際にバランスを保持し転覆を防ぐのだが、今回はこのキールが暗礁に引っかかったようだ。
 ヨット部員は海面を覗き込み冷静に状況を把握する。船のバランスを保つため、部員の指示で1年生は全員右舷に移った。「後退!」「右!」の声が飛び交う中、巧みに舵が操られる。およそ5分後、部員・OBの連携プレーによって船体は暗礁を抜け出した。東山さんによるとマリーナ付近での座礁は30年に一度の出来事だという。30年に一度の瞬間に立ち会ってしまった。
 やがて「アップ!」の掛け声と共にロープを巻き上げ、ヨットの帆を張る。マリーナ付近ではディーゼル機関によって船は推進力を得ていたが、ここからは 風の力のみで進む。船の速さは随分と速く感じられたが、実は自転車の走行速度と同程度だという。洋上では波に揺れれるため実際の速度よりも速く感じるようだ。海の風は心地いい。1年生らは船外に足を投げ出す格好でデッキに座りクルージングを満喫する。私がカメラを向けると「インスタ映えですね」と視線をこちらへ向けた。
 ディーゼル機関に頼ること無く、風のみを頼りに大海原を駆ける。気分は大航海時代。正にロマンだ。しかし往々にしてロマンには金銭的問題がつきまとうものだ。気になるその費用について尋ねると、やはり大金だという。しかしその多くをOBが負担し、在学生の負担額は非常に少ないとのこと。ヨット部活躍の陰にはOBによる強力なバックアップがあるようだ。
 天水さんは1年生らを気遣い船酔いした人はいないかと尋ね、「気分が悪くなったらここで吐くんだ」と船尾を指差す。環境学部に所属する私の脳裏には「海洋汚染」の4文字が浮かんだが、幸いにして「船尾」を利用した1年生は今回いなかった。

和気あいあいと

 約1時間30分の航海を終え陸に戻り、都市大ヨット部と親交のある明治学院大学体育会ヨット部と昼食を共にする。クルージングでは自炊が基本。上級生が1年生に料理を振る舞う予定だったが、1年生も自ら率先して調理に参加した。
 明治学院大学のヨット部員は「都市大ヨット部はフランクで、和気あいあいとした雰囲気だ」と話す。これは今日一日で私も感じたことだ。船の世界では命令系統が厳格で上下関係が厳しいと耳にしたことがあるが、都市大ヨット部はそんなことはない。上級生やOBらは笑顔で優しく1年生に接していて、良い意味で体育会らしくないと思えた。今回試乗会に参加した4人の1年生のうち2人は入部を決めているという。
 帰宅後、洗面台の鏡を見た私は真っ赤に日焼けした自分の顔を見て驚いた。ヨットは太陽が似合うスポーツだ。

ロマンを求める学生に

ヨット部は現在部員募集中で2年生以上の入部も歓迎だ。TAP(東京都市大学オーストラリアプログラム)に参加する部員や他の学生団体と兼部する部員もいる。以下の日程で試乗会が開催されるので興味があれば連絡すると良いだろう。ヨット部はロマンを求める全ての学生におすすめだ。

試乗会日程

4月28日 |試乗会
4月29日 |試乗会
5月4・5日| 江ノ島クルージング(一日のみの参加も可能)

ヨット部メールアドレス

ヨット部 Facebook
@tcu.yacht

アランフェス号(手前)

広々としたキャビン

「スマートフォンを海に落とさないように」と注意するOB東山さん

時に船体は大きく傾く

クルージングを満喫する1年生ら

昼食は明治学院大学体育会ヨット部と共にする

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