技術士は理系の難関国家資格として古くからある資格であり、その取得が優秀な技術者の証明となる。東京都市大学はその前身である武蔵工業大学の時代から多くの技術士を輩出している。先輩方は日々その技量を遺憾なく発揮し、未来を担う技術士として社会の発展に貢献している。その背中を見て技術士を志したという学生も少なくないだろう。
そして本学には卒業生の技術士が集う「柏門技術士会」があり、6月20日、今後の活動方針の決定を行うため、その総会を開催した。多くの会員の方々が集い、互いの研鑽、次なる時代を担う技術士の育成のため、その舵取りを行った。総会に始まり、技術士として研鑽を積むための講演会、最後に懇談会が催された。
ところで皆さんの中には技術士について詳しくご存じない方もおられると思う。技術士とは技術士試験という国家試験をクリアした者が保有する資格であり、技術士法第2条によれば、「21の技術部門にわたって、高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務の分野で活躍」している。工学系の分野を始め、情報系、環境系に至るまで多くの技術部門が存在し、この技術士の資格がその分野における「専門的応用能力」の証明になる、ということである。会長の佐藤さんによれば「技術士にしかできない、ハイレベルな仕事が多く存在する」という。一般に学生は技術士の第一次試験に挑戦し、それに合格すると得られる技術士補の資格を目指すことが多い。これに合格することが就職時、就職後に大きな強みになり得ることから多くの学生が毎年挑戦している。東京都市大学は技術士試験の受験サポートの体制が整っており、それは合格者数で常に上位につけていることからも覗える。
講演会では元(財)日本交通公社 常務理事原重一氏が登壇。原氏が携わっていた観光業の観点から地域開発の状況、人口100万都市(政令指定都市)の都市整備、一極集中社会から多極分散社会へ発展させるための課題などについて講演された。その中で、「多極分散社会実現のための鍵は地方で如何に魅力的な仕事を生み出すかである」など多くの地域が抱える課題の解決策を提示された。
最後の懇親会は和やかな雰囲気であり、会員の方々は互いに分野の垣根を超えた議論をされた。また、会食中には仕事の紹介なども行われていたが、これもひとえに都市大卒技術士という信頼関係があってこそのものだろう。柏門技術士会の会員であることが、こうした学習やビジネスチャンスにつながっているのだ。
様々な会員の方々のお話を聞かせて頂く中で私は、母校東京都市大学を想う気持ち、また都市大の学生への強いエールを感じた。会長の小林さんからは「学生には是非技術士の資格を取っていただき、日本社会の最先端で仕事をしていってもらいたい」という熱いメッセージを頂いた。こうした技術士会の皆さんの応援があってこそ現在も都市大が技術士を輩出し続けられるのだと強く感じた。
我々都市大生の技術士第一次試験合格者には柏門技術士会から助成金が支給される。また、柏門技術士会では技術士試験に関連する説明会やキャリア支援も行っている。次回の試験は10月13日(日)、申し込み期間は6月20日(木)~7月3日(水)となっている。私も会員の方々に背中を押され、次回受験を既に決めている。皆さんも是非この機会に受験してみてはいかがだろうか。
「元(財)日本交通公社 常務理事原重一氏」の役職名を「常任理事」と誤って記載しておりました。訂正し、お詫び申し上げます。