1人の新規参加で地方支部が「変わる」─広島支部が描く今後に向けた希望─

1人の新規参加で地方支部が「変わる」─広島支部が描く今後に向けた希望─

 2025年6月14日、広島ガーデンパレスにおいて東京都市大学校友会広島支部総会が開催された。総会には広島支部会員を中心に本学卒業生21名が参加し、総会後の懇親会では年代を超え、終始和やかに卒業生による議論が交わされていた。広島支部長の渡辺秀樹氏は、卒業生の多さに対して、維持会費納入率が16%にとどまっている現状を明かした。そのような中でも「1人でも来てもらえたら広島支部は変わる」と語り、新規参加への強い期待と地道な活動の継続に意欲を見せた。Uターンで地元に戻る人材が少ない現状の中、中国・四国地方の最大都市・広島においても、地方支部としての存続と活性化に向けた模索が続いている。

広島支部総会

広島支部総会の様子

 総会は渡辺支部長の挨拶により幕を開けた。挨拶の中で支部長は、「外が雨にも関わらず、お集まりいただきありがとうございます。1人でも多くの方に参加していただけますよう皆様のご指導と本部のお力を借りながら、役員一同頑張っていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。」と参加に対する感謝と今後の邁進の意を表された。また、校友会本部から露木副会長、金子副会長が臨席され、それぞれ挨拶された。

 その後、支部長を議長として支部総会が進行され、令和6年度活動報告と会計報告・監査報告、令和7年度事業計画・予算計画、役員改選のお知らせと続き、すべての議題で賛成多数により可決された。総会の最後、その他のお知らせとして校友会本部からの支援に関する話題、新規事業や要望の募集が通達された。

 総会に引き続いて開催された懇親会では、山田正一前広島支部長による乾杯に始まり、当日静岡支部総会の為臨席が叶わなかった校友会皆川勝会長によるビデオ挨拶が行われた。金子校友会副会長による東京都市大学近況報告・各キャンパスの現状と続いた。歓談は終始大盛況で、オカリナを披露する卒業生に合わせて全員で合いの手を入れる場面も見られた。会の終盤には本学の前身である武蔵工業大学の校歌斉唱や閉会の辞が行われ、これにて広島支部総会が締めくくられた。

広島支部における現状

 地方在住卒業生の減少と、それに伴う各地の校友会支部の高齢化は以前からの重要な課題点であるが、それは中国・四国地方最大の都市である広島においても例外ではない。広島支部における卒業生は比較的多い500名程度である一方、維持会費を納入している会員は16%程度に留まっていることにも表れている。渡辺支部長は、特に卒業生の多くが東京に流出し、地元に残る人材が限られていることが深刻であると位置づけた。「校友会は、実際に住んでおり関係を構築していくことに大きな意義があるため、校友会を維持していくためにはある程度の塊が必要であるものの、四国・中国地方いずれも卒業生が少ない現状がある」と指摘され、地方支部運営の根本的な困難さを率直に語られていた。また、現代の若手会員の意識変化についても言及され、「昔は仕事において先輩とのつながりが重要であり、自然と校友会に参加する傾向にあったと思われるが、現在はそうした近しい人間関係の価値がそこまで重視されない傾向にある」と問題分析された他方、「専門分野別の組織は比較的活発に活動しており、(広島市から距離のある)福山や三原からも参加者がいることから、『人がいる限りセーフ』な状況を維持していることもある」と前向きな考えも示されていた。

 また、大倉將裕副支部長は、若手会員の確保と大学教育の実践的な改革について、企業経験を踏まえた具体的な提言をされている。特に重要な指摘として、「いかに知らせるかが重要である」と情報発信の課題を挙げられた。学生や若手卒業生に対して、同窓会や校友会活動を効果的に伝える手法の見直しが必要だと強調された。

広島支部における最年少参加者の見解

 今回の支部総会の中で最年少であり、支部内で最も直近に参加された沖村恭平氏は、根本的な問題として「そもそも認知がされていないのではないか」と指摘され、自身も郵便物がきっかけで初参加となったことから、同窓会活動の存在自体が若手世代に十分伝わっていない現状を挙げられた。参加のハードルとして、経済的負担や広報における視覚的な問題を指摘され「若い人が1枚も映っていないような写真はあまり好ましくない」「若い人が映っていれば、中間層の人たちも『下の人たちが来ているなら自分も行ってみようかな』と意識が変わる」として、支部活動の高齢化問題に対し、活動の年代層イメージを刷新する必要性を強調されていた。

総会参加者が描く「これからの広島支部」

 今後の課題として、出身大学への誇りを持っているかが重要と位置づけ、大学への帰属意識の醸成が必要だと強調された。その上で、「それでも“1人でも”来てもらえたら広島支部は変わると思う」との言葉からは、帰属意識をもった新規参加者に対する期待と地道な活動継続への強い意欲が伺えた。懇親会の歓談の中でも、広島は武蔵工業大学出身の卒業生が多いが、誇りに思えるような大学を目指して欲しいとの話題が挙がっており、上河内裕司氏からは地元の小・中学校などの同窓会は比較的集まるものの、高校、大学と距離感が遠のいている印象で、「あの人に会いたい」など、支部総会などに行く側が何か目的を持ってもらう必要があるだろうとも語られている。

 卒業生からのこれからの展望として、多くは「1人でも新しい人が来てくれれば、支部総会は変わるだろう」という見解であった。校友会共通の課題に直面し支部の存続と活性化を軸として続く模索、大学を誇りに思う帰属意識を持った新規参加者に、支部活動に参加する会員からの期待が寄せられている。


渡辺秀樹広島支部長 総会では議長を務めた

会計担当 龍岩広幸氏による会計報告

事務局 神垣裕規氏による事業報告

懇親会 乾杯

懇親会の様子①

懇親会の様子②

懇親会の様子③

懇親会の様子④

校歌斉唱 武蔵工業大学時代の卒業生が多いこともあり、武蔵工業大学校歌が流れた

大倉將裕副支部長による閉会の辞

出席者全員の集合写真
新聞会からは程原菜生、鈴木敏太が参加させていただきました

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