2025年11月8日、世田谷祭が終了し、キャンパスに秋の気配が色濃く漂い始める中、東京都市大学校友会が主催する「Ringプロジェクト」の一環として、ディナークルーズが開催された。本企画は、「卒業後も続くつながりを大切にしたい」「世代や立場を越えて交流できる場をつくりたい」という学生および卒業生の声を受けて企画されたものである。Ringプロジェクトではこれまで、マスカット狩りやサバイバルゲームなど、体験型の交流イベントが実施されてきたが、海の上での開催は今回が初めてとなった。
当日は、みなとみらい・ぷかりん桟橋に学生や卒業生が続々と集まり、世代の異なる参加者が一堂に会した。集合時間には、久しぶりに顔を合わせた同級生同士が近況を報告し合い、自然と笑顔がこぼれる場面も見られた。初対面同士であっても、同じ大学に関わった者同士という共通点が会話のきっかけとなっていた。
出航時刻を迎えると、参加者はクルーズ船へと乗り込み、船内へと案内された。船には2階席も設けられており、デッキに上がると、ライトアップされた観覧車や高層ビル群が広がり、夜の横浜・みなとみらいの景色を一望することができた。定刻になるとクルーズ船は静かに桟橋を離れ、ディナークルーズが始まった。司会は在学生スタッフの安藤智葉(理工学部 自然科学科4年)氏、渥美静香(理工学部 自然科学科4年)氏が務め、落ち着いた進行で会を盛り上げた。はじめに、校友会会長・皆川勝(土木工学科・1979年卒)氏が挨拶を行い、今回の企画に込められた思いや、校友会としての今後の取り組みについて語った。その後、参加者はグラスを手に取り、乾杯を行った。船内ではディナーを楽しみながら、学生と卒業生が同じテーブルを囲み、学年や学科の垣根を越えた交流が行われた。卒業生からは在学当時の大学の様子や課外活動の思い出が語られ、学生たちは興味深そうに耳を傾けていた。一方、学生からは現在のキャンパスライフや学修内容について話が広がり、世代間の自然な意見交換の場となっていた。

▲司会の在学生スタッフの安藤氏(左)と渥美氏(右)

▲開会の挨拶を述べる校友会会長・皆川氏
また、途中で2階席に移動し、夜風を感じながら景色を楽しむ参加者の姿も多く見られた。クルーズ船は、コスモワールド周辺から赤レンガ倉庫、山下公園、横浜ベイブリッジ付近までを航行し、船上ならではの視点から横浜港の夜景を楽しむことができた。学生参加者の一人は、「卒業生に誘われて参加したが、普段なかなか経験できない非日常的な雰囲気を味わうことができ、非常に満足している」と語った。
船内企画としては、参加者全員が楽しめるクイズ大会も実施された。クイズは約10問出題され、本学に関する歴史やエピソードを問う問題から、横浜にまつわる一般的な内容まで幅広く用意された。参加者はテーブルごとに相談しながら解答し、難問に頭を悩ませる様子や、正解が発表された瞬間に歓声を上げる姿も見られた。優勝したグループには賞品が贈呈され、会場は大いに盛り上がりを見せた。


ディナークルーズが終盤に差しかかった頃、横浜ナイトフラワーズの開催日と重なっていたことから、船上から花火を観覧する時間が設けられた。夜空に打ち上げられた花火は約3分間にわたり、港の水面とともにみなとみらいの夜景を鮮やかに彩った。花火が上がるたびに船上からは歓声や拍手が起こり、参加者にとって印象深いひとときとなった。

▲花火が間近で打ち上げられ、臨場感のある演出であった
最後に、校友会副会長・荒井翔平(環境情報学科・2013年卒)氏が閉会の挨拶を述べ、「今回のような交流の場を通して、学生と卒業生が継続的につながり合う関係を築いていきたい」と今後への期待を語った。下船後には、世田谷キャンパス7号館の写真をデザインしたオリジナルキットカットが記念品として配布され、参加者は名残を惜しみながら帰路についた。

▲閉会の挨拶を述べる校友会副会長・荒井氏
本企画の運営は、卒業生と在学生が協力して行われた。運営メンバーは、露木博視(建築学科・1980年卒)氏、荒井翔平氏、加藤広樹(自然科学科・2013年卒)氏、島﨑健太朗(エネルギー化学科・2022年卒)氏、高橋知里(知能情報工学科・2023年卒)氏の卒業生に加え、在学生の安藤智葉氏、渥美静香氏が名を連ね、世代を越えた協力体制で企画・運営が行われた。Ringプロジェクトは、世代や立場を越えたつながりを育むことを目的に、今後も多様な形での交流企画を検討しているという。今回のディナークルーズは、その可能性を示す一例となり、学生と卒業生が互いに刺激を受け合いながら関係を深めていく場として、今後の展開が期待される。