第57回定期演奏会 東京都市大学吹奏楽団

第57回定期演奏会 東京都市大学吹奏楽団

 2023年12月22日夕刻、小田急狛江駅前の狛江市民ホールに、ティンパニとトランペットを始めとする吹奏楽器の雄大な音色が鳴り響いた。東京都市大学吹奏楽団による第57回定期演奏会の開演である。2023年度団員にとっての最後のステージは、夕闇の中集まった来場者や有志の学生運営スタッフらとともに暖かな雰囲気の中執り行われ、1年の活動の有終の美を飾った。

定期演奏会

 演奏会は合間に休憩を挟む3部構成で行われた。第1部は「鷲の舞うところ」を皮切りに、吹奏楽のために作曲された2曲が続いた。第2部では「色」をテーマに選曲したJ-POPの数々が披露された。団員は思い思いの色を衣装に取り入れ、舞台に色彩を添えた。第3部にはイギリスの作曲家であるフィリップ・スパークの楽曲から3曲が演奏された。音を繋ぎ、楽器を通して団員の呼吸が感じられる一体感ある演奏は、随所に差し入れられた司会者による曲紹介と相まって、表現された音楽の世界へ観客をいざなった。

 第3部の最終曲前には2023年度吹奏楽団団長の松本佑夏さんから挨拶があり、入学時からを振り返った思いや指導者、演奏補助者、運営スタッフなど定期演奏会を支える人々、来場者への感謝の言葉が伝えられた。ソロ演奏も含む最終曲「ウィークエンド・イン・ニューヨーク」では軽妙なリズムと楽器同士の掛け合いを見せた。湧き出した拍手が止まらない会場に応え、披露したアンコール演奏は「ギャロップ」であった。エンディングに向かって駆け出すように始まると、団員が一斉に立ち上がるフィナーレを迎え、再度会場からこぼれるような拍手が送られた。終演後、来場者からは「素晴らしかった」「感動した」「今後も期待している」といった声や、「お疲れ様でした」といった労いの言葉が寄せられた。

舞台裏

 当日は夕方の開演に向け、朝からリハーサルが行われた。演奏の最終調整が進むホール内には糸が張ったような緊張感が漂った。定期演奏会は吹奏楽団が主催するイベントであるが、当日の実施には様々な主体が関わる。引退した4年生などによる演奏賛助、舞台運営や撮影を担当する団体、有志学生の運営補助と、着々と人が集まり開場を迎えた。

 終演後のロビーや舞台裏では運営補助スタッフによる来場者の誘導や吹奏楽団員による片付けが行われた。一方で舞台袖では舞台運営に携わった学生が緊張から解放され、上級生に労われる姿もあった。

 定期演奏会は毎年12月下旬に行われることもあり、関係主体にとっても吹奏楽団と同様、3年生の最後の仕事である場合が多い。会場のあちこちで代替わりの瞬間が訪れた1日だったのではないだろうか。移り変わりの節目の演奏は、上級生の最後を飾りながらも後輩に向けられた餞でもあるように感じられる。新たな出発が快いものとなったことを願う。

本番での演奏
開演前及び休憩時間に行われたアンサンブル演奏
リハーサルの様子

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