触れて学ぶ世田谷祭 天文・航空・鉄道の挑戦【第96回東京都市大学世田谷祭vol.1】

触れて学ぶ世田谷祭 天文・航空・鉄道の挑戦【第96回東京都市大学世田谷祭vol.1】

 2025年11月1日(土)、2日(日・祝)に、世田谷キャンパスにて第96回世田谷祭が開催された。本記事では、来場者の「体験」を重視した展示で会場を盛り上げた、天文サークル、航空研究部、鉄道研究部の3団体の活動を紹介する。いずれの団体も専門的な分野の内容を扱いながら、年齢や知識の差を越えて楽しめる工夫が随所に見られた。


天文サークル展示

 天文サークルでは、横浜祭に引き続きプラネタリウムの展示と、星や宇宙をテーマにしたハンドメイド作品の販売が行われていた。段ボールで作られたプラネタリウムは、外観からは想像できないほどの開放感を訪れた人々に与え、限られた空間に投影された星空は、その狭さを忘れさせるほどの美しさで来場者を包み込んだ。

 今回の取材に応じてくれたのは、部員の小林美優さんである。横浜祭では空気で膨らませるタイプのプラネタリウムを使用していたが、世田谷祭ではより多くの人に楽しんでもらえるよう、車いすやベビーカーでも入りやすい大きな入口を備えたダンボール製のものを新たに制作したという。設計を担当したのは建築学部の先輩で、7月から模型制作を重ね、本制作に入った。試行錯誤を経て完成した力作である。

 会場ではプラネタリウムのほか、星や宇宙をテーマにしたゲームやハンドメイド雑貨も販売されていた。中でも目を引いたのは、福島で行われた夏合宿の夜空を撮影して作られた栞である。都会ではなかなか見ることのできない星空の写真を多くの、特に女性の来場者が手に取って見ていた。

 小林さんに伺ったところ、準備で最も大変だったのはドームを形成するためのダンボールを切り出す作業だという。一方で栞やレジン作品を制作する細かで繊細な作業については、「とても楽しかった」と笑顔で振り返った。

 今後については、「企業の方と連携しながら、新しい取り組みにも挑戦していきたい」と語っており、今後の活動の広がりが期待される。


航空研究部食堂展示

 航空研究部では、世田谷祭の両日、食堂にて今年度製作した人力飛行機の展示を行った。同部は1987年から飛行機を製作しており、過去に2度「鳥人間コンテスト」にも出場した実績を持つ、実力と歴史ある団体である。

 会場では、展示された人力飛行機について部員が来場者の質問に答えるほか、実際に尾翼を動かす体験も用意されており、子どもから大人まで楽しめる展示となっていた。

 コロナ過の影響で部員が減少し、一時は技術の継承が途絶える「ロストテクノロジー」もあったが、現在再び当時培われた技術が再び受け継がれつつある。

 今年度の機体は、2019年以来6年ぶりに前輪が浮き上がる成果を達成したそうだ。来年度以降も挑戦を続け、将来的には琵琶湖の空を舞う姿を期待したい。

 また、航空機以外だけでなく、実際に使用しているスタイロフォーム製部品なども展示されていた。


鉄道研究部展示

 後援会特別賞を受賞した鉄道研究部では、7号館クリエイティブゾーンにて展示を行った。例年より広い会場での実施となり、来場者がゆとりをもって展示を楽しむ環境が整えられていた。

 展示の中心は、毎年恒例の巨大レイアウトによるNゲージ運転体験である。会場では子どもから大人までがコントローラを操作し、思い思いの列車を走らせていた。運転体験は終日多くの来場者でにぎわいを見せ、鉄道模型の魅力を間近に感じられる場となった。

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 また、製作が進められている鉄道運転シミュレータ「BVE」用の筐体の展示や、完成間近の運転席の構造に来場者の注目が集まり、部員が開発の経過を説明する場面も見られた。鉄道クイズ大会も開催され、解答が読み上げられるたびに歓声や笑いが起こり、会場は終始活気にあふれた。

 このほか、横浜高速鉄道で使用されていた車両の種別幕を電動で回す展示も行われた。実際に回転する幕を間近で見ることができ、仕組みを興味深そうに観察する来場者の姿が目立った。物販コーナーでは、部誌や各種グッズ、クイズを販売し、特に「げんちゃんTシャツ」は人気を集めた。

 さらに、ぬりえコーナーやより大きな模型であるHOゲージの走行展示や、旅行相談も実施された。家族連れの来場者が多く、子どもたちが思い思いの色を塗る姿が見られた。

 ある部員は「会場が広くなったことで立ち止まってゆっくりと展示を見てもらえたのではないか。子どもが歩いていても危険が少なく、鉄道でも大切な『安全』を提供できたと思う」と語り、安全面を確保した運営に手ごたえを感じている様子であった。


 今回紹介した3団体に共通していたのは、専門的な活動内容を、来場者が「見て・触れて・体験できる形」に落とし込む工夫である。プラネタリウム、人力飛行機、鉄道模型と分野は異なるものの、ものづくりへの情熱と、来場者に楽しんでもらおうとする姿勢は共通していた。

 世田谷祭は、学生たちが日頃の活動の成果を発信する場であると同時に、その思いが来場者へと伝わる場でもある。来年の世田谷祭でも、こうした学生主体の挑戦が会場を彩ることを期待したい。

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