2023年10月14日、今年も秋の訪れと共に東京都市大学横浜キャンパスにて環境ISOフォーラムが開かれた。1998年に国際規格ISO14001認定を取得して以来、認定を継続している横浜キャンパスには、学生団体のISO学生委員会(以下、学生委員会)が存在する。当フォーラムは、毎年学生委員会による企画運営のもと、同大学のISO事務局・環境委員会が協力し開催されている。ISOフォーラムは例年、昨年度のフォーラム以来の活動報告、来場者に議論の場を提供するワークショップ、外部講師を招いた講演会が行われている。今年度も同様の形式での開催となった。
開会式では、横浜キャンパスの環境委員会委員長を務める史中超先生よりお言葉をいただいた。史先生はフォーラムの準備を行った学生、教職員の方々に感謝の意を述べるとともに、今年の環境ISO14001認定の維持審査を無事に通過したことを報告した。
続く活動報告では、学生委員会内の各部会から1年間の活動が提示され、反省点や今後の展望が述べられた。今年度はどの部会も新しい試みが多く、次年度への改善点が多く挙げられた。また、環境委員会副委員長・環境管理責任者代理の森朋子先生より横浜キャンパスのISO14001認定に関わる活動に関して紹介があった。森先生は環境委員会内で教員の組織とISO学生委員会が並び立っていることに触れ、多様な主体と共にキャンパス全体で環境に取り組んでいることを示した。
ワークショップ「いそっと」では、グループディスカッションの時間が設けられ、参加者は食品ロス削減の必要性や解決案、地産地消を普及させる方法について議論を交わした。会場では、消費者に制限を掛けることや無駄な土地を作らず活用すること、タッパーに入れて持ち帰ることなどといった意見が行き交い、それぞれのアプローチでアイデアを模索する様子が覗えた。参加した方からは「自分では思いつかない考えが出て驚いた」「消費者にどう訴えかけるかという点において、何が現実的か考えることになり議論が白熱したのが良かった」といった声が上がり、多様な意見に刺激を受けた様子であった。
講演会では、料理研究家であり、食育活動も幅広く行う森野熊八さんから食と食品ロスについてお話しいただいた。料理や食文化への豊富な知識を用いて聴衆を話題に引き込む講演に、頷いて聞き入る来場者の姿も見られた。熊野さんは時折冗談を交えながらも、様々な食品ロスの事例を紹介し、食に関して知識や疑問を持って問題と向き合ってほしいと伝えた。また、食事は文化であり楽しむものであるべき一方、食の選択肢を増やす裏で発生している食品ロスがあると訴え、発生の過程で日本の経済が回っているという一面をも指摘した。熊野さんが最後に「食品ロスはこれから社会人になる皆さんが向き合わなくてはならない、未解決の課題です。どうぞ皆さん素晴らしい答えを見つけてください」と講演を締めくくると会場からは暖かい拍手が送られた。
閉会式では、学生委員会代表とフォーラム係代表の挨拶の後、ISO学生委員会顧問の古川柳蔵先生よりお言葉をいただいた。古川先生はフォーラムの充実した内容に触れ、学生委員会の活動が活発化しつつあると述べた。また参加者に対し、日本は食品ロスにおいて模範的な国でない事実を提示すると、「答えはないがフォーラムをきっかけに色々考え、今日話し合ったことを是非行動に移してほしい」と続けた。
学生委員会には4つの部会と5つの係が存在し、学生委員はそれぞれ1つずつ部会と係に所属する。ISOフォーラム係の代表である甲斐好さんは今回の開催に関して、事前に全体を通したリハーサルができなかったが無事に終えることができ安堵したと述べた。また、テーマに関して「身近な環境問題という観点から食品ロスを選んだ。学生委員会のどの部会でも扱っていない分野であったが、学生委員会としても今後の活動の視野に入れる一助になればと思う」と語った。
森野さんの話や、いそっとの話し合いで、食品ロスについて様々な気づきを得られた一日であった。ISOフォーラムの参加者も増加しており、ISO学生委員会の活動の認知度が高まっていることが分かった。学生委員会のこれからの活動に期待したい。