第95回世田谷祭『星月夜』——キャンパスを彩る、思い出の輝き

第95回世田谷祭『星月夜』——キャンパスを彩る、思い出の輝き
 2024年11月2日、3日に東京都市大学世田谷キャンパスにて、第95回世田谷祭が開催された。 キャンパステーマには、19世紀後半の画家であるゴッホの代表作をなぞらえた「星月夜」が掲げられた。世田谷祭実行委員会は、「企画のひとつひとつが星となり、関わる1人1人が月のごとく主人公になってほしい」「引き立て合う夜空と星や月のように実行委員が互いに個性や良さを導き、世田谷祭という1枚の絵を描く充足感を持てるようにしたい」という2つの思いをテーマに込めた。世田谷祭開催期間中にはホームカミングデーやプレゼンコンテスト、建築100人展、OB/OG会、入試相談コーナーなども実施され、キャンパスは幅広い年代の人々で賑わった。

開催の様子 (写真提供:世田谷祭実行委員会)


開催にあたるコメント

 開会式にて、野城学長は

「コミュニティに属する人々は古来より、祭りという非日常のなかで新たなエネルギーを獲得してきた。皆さんも、学園祭を通していろんな人と知り合い、お互いの違いを感じ、新たな発見に結びつく機会を得てほしい。卒業し何年経っても仲間と共有できる、良い記憶にのこるイベントにしてほしい」

と述べ、無事に開催を迎えられたことを喜んだ。

 世田谷祭実行委員長である須崎聖(すさきせい)さんは

「今年も多彩な企画が揃い、各サークルや部活が工夫を凝らして模擬店や企画を準備している。テーマには我々の理想と思いを込めた。光輝く世田谷祭を楽しみ、来場者の皆様にも輝いてほしい」

と述べた。

3号館 展示 (写真提供:世田谷祭実行委員会)


模擬店

 今年も世田谷祭は活気に満ち、多くの来場者が模擬店や教室企画を楽しんだ。

 屋外では、多くの課外活動団体が模擬店を出店し、色とりどりの飲食物を販売した。模擬店は3号館前と9号館前で実施され、3号館前ではからあげ、たこ焼き、焼き鳥、ケバブ、クレープ、タピオカなどが、9号館前では餃子、じゃがバター、焼きそば、チュロス、チョコバナナなどが販売された。

 初日はあいにくの雨で来場者が少なく、厳しいスタートとなったが、2日目は一転して快晴に恵まれ、季節外れの暑さとなった。その影響で、飲食を求める来場者や学内生の長蛇の列ができた。また、今年は横浜祭からキャッシュレス決済が導入された。決済手段の選択肢が広がり、スムーズな購入によって待ち時間が短縮された。     

建築学科・手塚研究室 [絶品広島風お好み焼き]

体育会水泳部  [水泳部のフランクフルト] (写真提供:体育会水泳部)


教室企画

 建物内の各教室では、文化団体サークルを中心に、さまざまな室内企画やステージが開催された。その中から特に盛り上がりを見せた企画をいくつか紹介する。

 1号館地下1階では、競技麻雀部による模擬雀荘が開かれた。プロのゲストが来場し、一般来場者や在学生と交流を深めた。初心者や子供には部員がサポートしながら、ゲームを楽しむ様子が印象的だった。

 1階の教室では、マジックショーが開催された。親子連れの来場者が多く、子供とマジシャンが一緒にマジックを披露する場面もあり、会場からは度々大きな拍手が巻き起こった。

 2階では都市トークが行われた。初日は科学のお姉さんとして知られる五十嵐美樹(いがらしみつき)さんが、2日目は元女子サッカー日本代表の田中桃子(たなかももこ)さんが登壇。それぞれ自身の経歴や仕事のやりがいについて語り、来場者が真剣に耳を傾けていた。

競技麻雀部 [都市大雀荘]

TAK(たっく)さん [マジックショー] (写真提供:世田谷祭実行委員会)

五十嵐美樹(いがらしみつき)さん [都市トーク]


鉄道研究部

 世田谷祭学長賞を受賞した鉄道研究部は恒例の大規模な鉄道模型ジオラマを用いた運転体験をはじめ、様々なブースを1号館3階の13Qにて展開した。

恒例の模型運転体験は好況で、絶えず希望者が受付で体験の申し込みをしていた。運転する車両を希望できるとあって、繰り返し体験を申し込む人も多く賑わいを見せていた。

 また、今回から国家資格保有者による旅行相談カウンターや物品販売コーナーを設け、新たな需要の開拓と活動資金の獲得も進めている。この物品販売コーナーでは、今年度版の部誌、クイズ、ペーパークラフトを販売した。更に、キャッシュレス決済も導入され、手持ちの現金の少ないOBも利用しやすいような仕組みが整っていた。

 一角には五島育英基金を活用し、制作が進められている運転シミュレータの運転台が展示されていた。筐体の完成は間近とのことで、今後は中身のCGを作り上げていくことになるという。来年にはこのシミュレータ―も体験運転してもらえるよう完成を目指すものの、教室の電気使用量の都合で公開を断念せざるを負えないかもしれないと運営への懸念が感じられた。

鉄道研究部


医用工研究室訪問

 世田谷祭と同日開催された校友会川崎支部主催の研究室見学会が、2号館4階で開かれた。見学先は和多田雅哉(わただまさや)教授が率いる臨床器械工学研究室である。見学会は研究内容を紹介するポスターセッションから始まり、超音波を用いた自動検診システム、心電図、手術ロボット、電動車いすなどが紹介された。

 その後、実際に研究を行っている部屋を訪問した。研究に使う材料は高いものが多いため、実験を容易に行えない現状について理解が深まった。また、手術室も案内され、参加者全員が電気メスを用いた模擬的な切開を体験した。

 今回の見学会は、医療に役立つ多様な技術を間近で見て体験をすることが出来る場であった。実際に体験することもできたので参加者にとって非常に有意義な機会となったと言える。今後、これらの研究が医療のさらなる発展に寄与することを期待したい。

校友会川崎支部 [研究室を見学しよう! (臨床器械工学研究室-和多田教授)]


開催を終えて

 第95回世田谷祭実行委員長の須崎聖さんは、開催について

「新しい試みも多く、さらなる活気につながる1歩となったのではと思います。参加団体の数も増え、大学の学生全体で世田谷祭を盛り上げることが出来たと感じています」

と話している。今年度のテーマ「星月夜」には、ひとりひとりが星のように光り輝く世田谷祭になるように、との願いが込められていた。須崎さんは

「当日も来場者並びに私達世田谷祭実行委員が輝いた日になったと感じました」

と振り返った。

 準備の段階では実行委員会の運営に苦労する場面もあったようだ。

「内部でのトラブルも多々あり、一時はもう無理だと思ったこともありました」

と明かし、

「しかし、委員のみんなに支えられ世田谷祭の成功を収めることが出来ました。1年生の子達も活発に活動に来てくれ、たくさんの人達に支えてもらい、人に恵まれた1年だったと思います」

と周囲の人々への感謝の思いを語った。

 次回開催に向けては

「今年に引き続き、来年はさらにさらに盛り上げられるように、既に準備を進めているところです。私も来年度は楽しむ側として、世田谷祭を楽しみにしたいと思います!」

と第96回世田谷祭への期待を明らかにした。

1号館 展示


さいごに

第95回世田谷祭『星月夜』は、学内外の多くの人々が集い、賑わいを見せた2日間となった。企画を支えた実行委員やサークル・団体の熱意が、多彩な催しの成功につながったことは間違いない。来場者にとっても、模擬店やステージ、展示企画を通じて、思い出に残るひとときとなったのではないだろうか。星が輝く夜空のように、一人ひとりの個性と情熱が交わり、世田谷祭という特別なキャンバスを彩った。来年もまた、新たなテーマのもと、この祭りがさらなる輝きを放つことを期待したい。

第95回世田谷祭 各種情報
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