「真のイノベーション人財を、“公教育” でどう育てるか?」 SHIBUYA QWSにて開催 

「真のイノベーション人財を、“公教育” でどう育てるか?」 SHIBUYA QWSにて開催 
 2024年8月1日、SHIBUYA QWS (渋谷キューズ)スクランブルホールにて「真のイノベーション人財を、“公教育” でどう育てるか?」をテーマにしたイベントを東京都市大学教育開発機構が開催した。

 東京都市大学は「誰もがイノベーターになれる」という考えを基に、全学部の1~3年生が受講することができる新科目を2020年から導入している。これは、日本と同様に省資源国として人材育成を重視し、デンマークの教育にヒントを得て設計された。本イベントでは15年前に同様の授業を受けた向川氏の話や、学部生がテーマを設定して課題解決に取り組んだ授業の成果ポスターが披露された。この機会に、真のイノベーション人材の育て方を一緒に考え、ディスカッションを行った。

2024年1月、東京都市大学11代目の学長に野城智也が就任された。本学は、野城新学長が掲げる「都市を舞台にイノベーションを起こす大学」を目指し、教育・研究、継続的な能力構築支援、国際連携、社会実装等の改革を全学で推進していることも今回のプログラムに大きく関係している。

プログラムとして、はじめに学生による「正課授業SD PBL(3)およびひらめきプログラムで取り組んだプロジェクト」のポスターセッションが行われた。約10グループが発表をし、それぞれの発表が改革的であり、大学生ならではの新鮮さを兼ね備えていた。


大学内に無料の生理用品設置を目指す学生プロジェクト

▼現在、東京都市大学では無料の生理用品を女子トイレに設置するプロジェクトが進行中である。企画の代表を務める、機械工学科4年生の加藤凜香さんに話を伺った。

「最初は企業からの導入を検討していたんですが、半導体不足の影響で外部から取り寄せると一年以上かかることが判明しました。それで、企業からの返答を受けて『じゃあもう自分たちで(装置を)作っちゃおう』と思い立ち、プロジェクトの方向性が決まりました」

プロジェクトチームは機械工学科、機械システム工学科、電気電子通信工学科の学生たちで構成されており、「ひらめきプログラム」を生かし、有志で集まったメンバーが取り組んでいる。

「私たちのオリジナルな点は、部品作りから自分たちで関わっていることです。機械工学科の強みを活かして、図面も自分たちで描き、3D CADで図面を作製し、3Dプリンターで出力する作業まで行っています」

プロジェクトで開発中の装置は、学生証をかざすと生理用品が出てくる仕組みとなっている。「利用者のプライバシーを守るため、個人名や学籍番号がわからないように、利用者1、利用者2といった形で個体識別を行う仕組みを現在制作しています」と加藤さんは説明した。

この装置は、秋の第3クォーターから大学の10号館または1号館に導入予定だ。学生たちの手によるイノベーションが、キャンパスライフに新たな利便性をもたらす日も近い。

ポスターディスカッションの様子


大学教育についての提言を様々な視点から読み解く

トークセッションでは基調講演として、伊藤教授のSDPBLの授業を15年前に受けたトヨタ自動車(株) 向川 真太郎氏の「私が受けたSTEAM(PBL)教育と、これからの大学教育への提言」による講演が行われた。

そして本学からは、東京都市大学の新しい教育・カリキュラムへの挑戦として

1. 必修科目「SD PBL」で1年生から卒業研究までをつなぐカリキュラム
 ▼東京都市大学 教育開発機構 教授 伊藤 通子教授

2. トップアップ型ひらめきプログラムとNext PBL
 ▼東京都市大学 教育開発機構 教授 杉浦 正吾教授

3. 異なる専門分野の学生による研究交流を通した越境的学び
 ▼東京都市大学 都市生活学部 都市生活学科 准教授 西山 敏樹教授

以上の3つの講演が行われた。
1.2の内容は既に取り上げている。詳細はこちらの記事から確認できる。

内閣府総合知ワークショップ【前編】: https://tcuprs.com/?p=3914

内閣府総合知ワークショップ【後編】: https://tcuprs.com/?p=3916

都市生活学科 西山敏樹教授は、これまで文系と理系が融合する研究環境で、ユニヴァーサルデザイン及びモビリティデザインを研究しており、誰もが使いやすいデザイン=ユニヴァーサルデザインに関することであれば,幅広くチャレンジをしてきている経歴をもつ。

PBL教育では、学科間交流の抵抗減少について述べており、

・社会科学と自然科学と人文科学の相互交流の理解が深まり、学生間の抵抗値が確実に減ったこと
・社会の複雑な問題解決には、色々な人と知を結集するのが当たり前という雰囲気が広まったこと
・教員側も「私の学生」という感覚ではなくて「私たちの学生」という感覚の重要性に気づくこと

以上のことを様々な事例研究から気づきを得て、都市研究での分野融合の重要性について提唱をした。



 ディスカッションとして、「正課としてのイノベーション教育の重要性と方策」について講演をされた教授らと来場された方々で討論をした。同じ言語でも、捉え方は学部学科・専門領域によって様々である。数ある考え方から全体における「最適解」とイノベーティブな考え方を共有出来たらいいと本イベントを通じて考えなければならないことである。

開会の挨拶 東京都市大学 学長 野城 智也

トヨタ自動車(株)向川 真太郎氏 
パワートレーンカンパニーパワートレーン統括部 生産投資企画室事業G
「私が受けたSTEAM(PBL)教育と、これからの大学教育への提言」

東京都市大学 教育開発機構 教授 伊藤 通子教授
必修科目「SD PBL」で1年生から卒業研究までをつなぐカリキュラム

司会: 東京都市大学 副学長(研究担当) 柴田 随道
「正課としてのイノベーション教育の重要性と方策」

閉会の挨拶 東京都市大学 副学長(教育担当) 田口 亮

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