東京都市大学新聞

Tokyo City University Press

校友会、広島で「ものづくりワークショップ」―親子で広島の地盤と防災を学ぶ

 東京都市大学校友会が主催する「ものづくりワークショップ」が6月13日、広島市中区のRCC文化センターで開かれた。会場には小学生とその保護者19組が集まり、地盤やまちの成り立ちをテーマに、実験やクイズを交えたプログラムに取り組んだ。

 会場には、水槽や砂、地層模型などの教材が並べられた。案内役を務めたのは、本学の学生と、今回の企画・運営に携わった合同会社「きみのたねこうぼう」(高知県)の学生スタッフ。開始前から学生と子どもたちが会話を交わす姿が見られ、和やかな雰囲気の中でワークショップが始まった。

 最初のプログラムでは、広島の土地の成り立ちについて説明が行われた。三角州の上に広がる市街地や、川によって形作られてきた地形について、写真や地図を使って紹介。子どもたちはスクリーンに映し出された航空写真を見ながら、自分たちが住む地域の地形や川の位置を保護者と一緒に確かめた。

 続いて行われた液状化の実験では、水槽に入れた砂と水を使い、揺らす前後で砂の状態がどのように変化するかを観察した。「地面の下で起きていることを小さく再現しています」と説明を受けると、子どもたちは自ら水槽を揺らし、模型の位置や傾きが変化する様子を食い入るように見つめていた。保護者も「ニュースで聞いてはいたけれど、こうして見るとよく分かる」とうなずきながら、実験を見守っていた。

▲実験の観察は、しっかりワークシートに記録する

 後半には、地盤を調べるボーリング調査の紹介と、地名から土地の特徴を読み解くクイズが行われた。「海に関係する地名はどれか」などの問題が出され、地名に使われている漢字やその由来を手掛かりに、土地の成り立ちを考えた。「さんずい」が付く漢字など、正解につながる手掛かりが解説されるたびに、各テーブルから歓声や笑い声が上がった。地理と工学の話題が、クイズを通じて自然に結び付いていく様子が見られた。

 ボーリング調査の模擬実験では、色の異なる寒天を重ねて地層を再現した水槽が用意された。子どもたちは、側面を画用紙で覆った水槽にストローを差し込み、採取した寒天の色や並び方を観察。そこから地層の重なり方を予想し、ワークシートに描いていった。

 予想を終えると、水槽の側面を覆っていた画用紙をめくり、実際の地層模型と自分たちの予想を見比べた。予想が当たって歓声を上げる子どもがいる一方、外れて悔しそうな表情を浮かべる子どももいた。模型には地層が斜めに重なる部分もあり、地中の状態を限られた調査結果から推測する難しさや、地層の複雑さを体感している様子だった。

▲予想はなかなか悩ましいようだ。

 各プログラムは20分前後にまとめられ、説明、実験、クイズがリズムよく切り替わる構成となっていた。各テーブルには学生スタッフが一人ずつつき、親子二組程度が同席。学生が会話を促すことで、参加者同士の交流も自然に生まれていた。

 企画の背景には、昨年度に校友会高知支部が開催したワークショップがある。高知での取り組みに参加した皆川勝校友会長と広島支部長が、「広島でも子どもたちや地域と大学をつなぐ場をつくりたい」と共感し、今回の開催につながったという。 初回から支部単独で運営するのは負担が大きいため、当面は校友会本部が主催し、支部と連携しながら運営のノウハウを蓄積していく方針だ。

 校友会は、現役学生や高校生など、若い世代が力を発揮する場としての側面も重視している。学生スタッフの一人は「小学生に向けて説明するのは難しいけれど、自分が勉強していることをどう伝えるか考える良い機会になった」と話した。準備段階では、「子どもにも分かりやすい説明」にこだわる学生の提案を基に、打ち合わせや原稿の確認を重ね、説明内容を磨いていったという。

 参加した子どもたちからは「実験がおもしろかった」といった感想が聞かれた。保護者からも「学校ではあまり聞かない話を、身近な例で教えてもらえてよかった」「大学生が楽しそうに説明してくれるので、子どもも自然と引き込まれていた」など、好意的な声が寄せられた。

 今後について、校友会の皆川会長(1979年土木学科卒)は「広島での経験を基に、関西圏や名古屋、福岡、仙台、札幌など、各地での開催も視野に入れている」と話す。地方都市でのワークショップを通じて東京都市大学を広く知ってもらうとともに、各地の卒業生ネットワークの活性化や、地方からの進学希望者との接点づくりにもつなげたい考えだ。高知では毎年11月に同様の企画を続ける構想があり、2027年春には別の都市で開催することも検討している。

 取材を通して印象に残ったのは、「工学の話」を身近な題材から始めていた点だ。足元に広がる広島の土地や、日常の中で目にするまちの風景を入り口にすることで、子どもたちは工学を「自分ごと」として受け止めていたように感じた。今回のワークショップが、地域と大学、卒業生と在学生を緩やかにつなぐ場として、今後どのように育っていくのか。これからの展開を見守りたい。