第27回横浜祭開催

第27回横浜祭開催

 当日の様子

 2023年9月17日・18日、第27回横浜祭が東京都市大学横浜キャンパスにて開かれた。4年ぶりの完全対面開催となり、それを祝うかのような晴天に恵まれ、多くの来場者で賑わった。今年の横浜祭のテーマは「Dynamic」である。初めてステージが体育館に建設され、コロナ明け初の模擬店開催が実現するなど、昨年に比べて新たな取り組みが多く見受けられた。

今回開催から再開した模擬店での調理の様子

 2日間に渡り体育館ステージでは、音楽演奏やパフォーマンスが行われた。どの団体もテーマの「Dynamic」を意識した内容を披露し、会場は終始熱気を帯びていた。中でも2日目の昼に行われたお笑いライブの盛り上がりは凄まじいものだった。令和ロマン、ウエストランド、キュウの3組の大物コンビがスペシャルゲストとして登場し、会場には約300人あまりの観客が集まった。どのコンビも本当に面白いものばかりで、取材していた会員も思わず笑ってしまうほどのパフォーマンスであった。漫才を披露した後は、質問コーナーやサイン色紙のプレゼント抽選会もあり、最後まで楽しませてくれるステージとなった。

お笑いライブ開始前に観客で埋まる会場

 同時に室内でも様々な場所で盛況を見せていた。3号館1階では2日間に渡りスプラトゥーン3横浜ドラフト杯が行われた。普段大学では見られない、大学生たちによる白熱のゲーム対戦に会場では歓声が飛び交った。他にも各団体の作品展示や、将棋体験、ドローン&プログラミング体験、脱出ゲームなど来場者が主体で楽しめる出展が多く、小中高生が楽しむ様子も見受けられた。模擬店ではかき氷やポップコーン、わたがしにチュロスといった定番のスイーツに加え、フランクフルトや焼きそばといった食品も販売された。どのお店にも行列ができており、コロナ以前の活気を感じる光景となった。

スプラトゥーン3横浜ドラフト杯での結果発表の瞬間

 横浜祭の最後を飾ったのは、テニスコートで行われた「スカイイルミネーション」だ。時間になると、参加者の願いが書かれたランタンが次々と空に浮かべられた。様々な色のランタンの美しいライトアップが、来場者を魅了した。昼の大盛況から一転し、感動的な景色とともに横浜祭は幕を閉じた。

スカイイルミネーションの様子

激動の横浜祭実行委員会

 1学生の大学生活における課外活動の期間は3年程である。新型コロナウイルス感染症の数年にわたる社会への影響が、多くの課外活動団体にとって大きな痛手となったことは想像に難くない。大学の一大イベントである学園祭、横浜祭を支えた横浜祭実行委員会(以下、実行委員会)の活動も変動に次ぐ変動であった。第27回開催を終え、実行委員会の部署長を務めた3年生にお話を伺った。事前記事取材にも協力いただいた幹部の3人は、自身の3年間を交えた思いを明かしてくれた。

▶第27回横浜祭事前記事:https://tcuprs.com/2023/09/11/pre-yokohamafes/

 広報部長の井上梓さんは、ここ2年程の実行委員会の歩みを語った。「遡ること2021年12月、私が大学1年生の冬のことです。新型コロナウイルスの影響でオンライン開催した第25回横浜祭を終え、第26回横浜祭に向けて始動した直後に、同期の委員が一斉に実行委員会を辞しました」実行委員会は一時は7人まで人数が減り、苦境に立たされた。その中で臨んだ大学との基本方針会議もまた易しいものではなかった。「挑んだ会議では、第26回横浜祭に向けた方針や夢を語りました。学内の大人達から返ってきたのは乾いた笑いと『人数1桁で学園祭の準備などしている場合ではないだろう』という言葉でした」この時、井上さんらを含む委員は「3年かけて鼻で笑った大人達と、辞めていったいった同期を見返そう」と決意した。委員の尽力の末、2022年の4月には新入会員を60人程迎え、実行委員会は70人規模の団体に成長した。しかし 当時の横浜祭開催時期は6月であり、その時点で開催まで2ヶ月を切っていた。東京都市大学史上初めて学園祭をハイブリッドで開催した第26回横浜祭の裏では急成長した団体の大きさに対応が追いつかず苦労する場面もあった。

▶第26回横浜祭取材記事:https://tcuprs.com/2022/07/08/2022_yokohamafestival/

 そうして、実行委員会は第27回開催に向けて動き出す。「2022年の秋。1学年上の先輩たちの引退と同時に、また同期の委員や後輩を数人失いました。しかし、2023年4月には100人近い新入会員が入り、実行委員会はついに100人規模の大所帯へ変貌を遂げたのです」迎えた第27回開催は完全対面開催、模擬店の復活、体育館ステージの建設と、復古でありながらも創造を交えた新しいものとなった。井上さんは自身の経験について「異例の同期5人という状態で実行委員会の最高学年になり、オンライン開催から完全対面開催を復活させる過程を肌で体験してきました。あの時笑った大人達や、辞めていった同期達を見返す結果が出せたのかはわかりません。楽しいことよりも辛いことの方が多い3年間でしたが、続けてきて本当に良かったと思っています」と語った。

 苦境に立たされた実行委員会を支えたのは、少ないながらも人徳のある委員達であった。横浜祭実行委員会副会長であり、管理部長を務めた尾形駿さんは2021年の12月に困窮する委員会を見かねて委員会入りを決めた。「実行委員会の先輩方や同期委員の悩み、苦痛な思いを耳にするようになり、困っている人がいるのなら助けなければという思いに駆られました。委員会入りして早々に管理部長への就任が決定した時は、正直頭の整理は追いつきませんでした」尾形さんは業務に慣れてきた頃に第26回開催を終え、第27回開催準備に臨んだ。開催時期の移行や新入会員により、当初は時間も人員も十分かと思われた。「逆に大規模な団体内では情報共有が円滑に進まなかった。1人ひとりの委員のモチベーションが異なることも分かりました」と語った尾形さんは準備の過程で試行錯誤を繰り返した。

 1年生の春から実行委員として尽力し、横浜祭実行委員会会長と企画部長の両職を務め上げた山崎莉奈さんは、自身の葛藤とそれを乗り越えた先の成果に想いを馳せる。「初めはキラキラした学園祭の運営に憧れを持って入会しました。第25回横浜祭では司会を務めましたが、想像以上に地道な作業が多かったです」山崎さん自身にも、いつ辞めると周囲に伝えるか悩んでいた時期があった。委員を続けた裏には「それでも、横浜祭という『1つの目標に向かって準備し、人に感動を与えられる』チャンスは逃せない」という思いがあった。活動の中では、企画部としてやりたいことと現実的に出来ることの折り合いをつける難しさに向き合ってきた。山崎さんは、実行委員会での日々を今回の学園祭テーマ『つなぐ、つながる、つなげる。』になぞらえて振り返り「私の大学生活も多くの人と繋がり、協働した3年間だったと身に染みて感じています」と語った。

 お話を伺った3人からあまねく読者へ向けて託されたコメントを一部抜粋して掲載する。

 「第27回東京都市大学横浜祭にご来場いただいた皆さん、運営に携わってくださった学生と教職員の皆さん、地域の方など多くの方のおかげで無事に閉祭することが出来ました。本当にありがとうございました。4年ぶりの完全対面開催、お楽しみいただけたでしょうか。 準備段階では危機的状況だったものの、委員同士で協力し、時には他団体の方にも協力いただき、理想に近いものが完成しました。当日は委員1人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮し、来場者が笑顔になっていく様子を見て、感無量でした。横浜祭が、コロナ禍で失われたキャンパスの活気を取り戻し、今後より進化していくきっかけとなれば幸いです」(実行委員会会長・企画部長 山崎莉奈さん)

 「第27回東京都市大学横浜祭を無事開催することが出来ました。運営に携わってくださった学生と教職員の皆さん、地域の方など多くの皆様、本当にありがとうございました。この2年間、何度も困難な壁にぶつかってきました。その度に壁を乗り越えられたのは、最高の団結力と協調性を持った個性豊かな同期や東京都市大学の課外活動を一緒に盛り上げてくれている仲間たちがいたからこそだと思っています。来年以降も仲間を大切にして、より良い横浜祭を作っていただけることを祈っています」(実行委員会副会長・管理部長 尾形駿さん)

 「無事第27回東京都市大学横浜祭が終了しました。 私たち3年生にとって、実行委員として参加できる最後の年でした。4年ぶりの完全対面開催を実現し、最高の盛り上がりで終えることができたと思っています。 大学の教職員や地域の皆さまをはじめ多くの仲間に支えられて3年間実行委員会を続けることができました。この場を借りて全ての方々に御礼申し上げます。来年以降も続く横浜祭と、横浜祭実行委員会を引き続きよろしくお願いいたします」(広報部長 井上梓さん)

 多くの来場者で賑わった今年の横浜祭は、誰にとっても記憶に残るイベントになった。今年以上の横浜祭が実現出来るよう励む学生たちに今後も期待したい。

横浜祭来歴 (新聞会作成)

イベントカテゴリの最新記事